多くの医師、歯科医師の先生方にとって、ご自身のクリニックを開業し成功させることは、一つの大きな目標であると思います。一方で、ご自身のクリニックで事業を行うにあたっては、勤務医時代には無縁であった様々な悩みに直面します。
これから個人クリニックを開業する頃
実際にクリニックを開業しようと考えた時にまずぶつかるのが、「開業の行政手続が煩雑で何から始めればよいか分からない」ということではないでしょうか。医業は規制産業であるため、クリニックの開業にあたっては、監督官庁等様々な行政機関に対して手続を行う必要があります。しかも、そのいずれもが通常時間を要するもので、開業に向けて忍耐強く準備を進める必要があります。
また、開業にあたっては事前に事業の見通しとして「事業計画」を策定する必要があります。その中でも特に、当面の資金面の課題として、「開業に向けて資金調達が必要だが、具体的にいくら借りればよいか分からない」といった悩みが多いと思います。クリニックの開業にあたっては、多くの場合に多額の初期投資が必要となります。医科クリニックの場合、開業当初から高額な検査機器等を揃えるケースは稀ですが、それでも一般的な診療設備、内装工事等の設備投資が必要です。訪問診療がメインの場合であれば、こうした診療所内の設備投資をある程度節約できる一方で、車両を揃える必要があります。あるいは歯科クリニックの場合、通常は設備として更に多額の初期投資が必要になるでしょう。
こうした開業時の諸問題について、医師・歯科医師の先生方は開業準備中とはいえ、通常は常勤あるいは非常勤であっても勤務医として大変忙しく日々仕事に従事しているはずですので、なかなかこうした本業以外のことに貴重な時間を割く余力がないのではないでしょうか。
クリニックを開業したばかりの頃
実際に開業なさった直後には、「診療報酬の請求やその他の会計事務、人事など、やることが膨大で本業に注力できない」といった組織運営に関する問題から、「開業当初に出費ばかり先行して資金繰りが危うい」といった財務的な問題まで、通常の会社と同じか、あるいはそれ以上に複雑な状況に困惑なさるケースも少なくありません。
クリニックを開業すると、本業の診療は勿論のこと、保険点数の計算から報酬の請求といった医業独特の会計制度への対応に加え、日々の入出金等の経理業務や備品の発注等の購買業務、あるいは医薬品等棚卸資産の管理など、必要な周辺業務が実はたくさん存在します。加えて、小規模なクリニックであっても何らかの形で従業員を雇うことがほとんどかと思いますので、その場合には、勤怠管理や給与計算といった人事労務に関する業務も必要となります。こうした「バックオフィス業務」に時間を取られ、医師・歯科医師の先生方が本業の診療に注力できないという状況は避けなくてはいけません。いわゆる「事務長職」のような方を早い段階で雇うことができれば負担は随分軽減されるはずですが、なかなか開院当初からこうした方を雇うのは難しいのが現状ではないでしょうか。
財務面の問題としては、開業時の初期投資も勿論重要ですが、決して忘れてはならないのが運転資金です。クリニックの診療報酬の大部分は国の保険制度を通じて支払われることから、非常に安定しており事業上大変有利な仕組みである一方で、保険の請求から実際の入金に至るまで、通常は2ヶ月間を有します。従って、開業当初の2ヶ月間は、患者さんの自己負担分を除き、クリニックはほぼ入金がないことになります。にもかかわらず、クリニックの開業に際しては通常、看護師さん、事務員さん、あるいは非常勤の医師の先生に対する給与の支払が発生します。加えて家賃や光熱費、その他の支出等、様々な経費がかかります。勿論、開業をなさる先生ご自身の生活費も必要です。従って、開業当初の当面の運転資金の確保には十分な注意が必要です。
クリニック経営が軌道に乗り安定した頃
このタイミングでは、医療法人化を検討する方も多くいらっしゃいます。分院の開設、あるいは訪問介護サービスといった周辺事業への参入といった事業上の要請から法人化が必須なケースもあれば、法人税率と所得税率の差を使用した節税を目的として法人化を検討するケースもあると思います。
確かに成功している個人クリニックであるほど、法人化によりトータルで支払う税金が低くなる可能性は高いです。しかしながら、いくつかの理由により、トータルで節税をすることが経営者である先生方にとって必ずしも得であるとは限りません。例えば、一般の株式会社と異なり医療法人では利益が貯まった場合にもこれを配当することや、解散時に分配することができず、最終的には国や都道府県に帰属することとなります。この場合、いくら低い税率で医療法人に利益を貯めたとしても、結局のところ、経営者である先生方の元には思うように資産が残らないという事態もありえます。また、医療法人の資産はあくまでも医療法人のものであり、経営者の先生方個人の資産ではありません。従って、仮に法人税率のほうが低い場合でも、節税ばかりを求めた結果、医療法人にばかり所得が貯まってしまい、経営者である先生方個人の生活は豊かにならないということも、十分にありえます。この場合には、単純に医療法人と個人クリニックの税金の比較だけでなく、「役員給与をいくらに設定するか」ということも非常に重要は論点となってきます。あるいは、いわゆる「メディカルサービス法人(MS法人)の活用」といったことの検討も必要となります。
このように経営者として多岐に亘る悩みを抱える医師・歯科医師の先生方に対し、当社では税務・会計・財務の専門家である会計士・税理士として、先生方がしっかりと本業に注力することができるよう、個人クリニックの開業から医療法人化の検討、あるいは事業の拡大に伴う組織の拡張やバックオフィス業務の効率化に至るまで、事業のあらゆる局面で医業経営をサポートしており、実際に多くのお客さまから好評を頂いております。
具体的には、クリニック開設の検討にあたっては、先生方の事業に関する展望やご要望等個別の状況を詳細にお伺いした上で、事業計画の策定から資金調達計画の作成だけでなく、ご要望に応じ金融機関からの開業資金の融資獲得に向けて必要書類の作成や融資面談への同席等、資金調達全般を支援致します。
また、煩雑で分かりにくい行政機関への各種届出に関しても、提携する行政書士事務所等の他士業と連携し、ワンストップでお手伝いが可能です。
実際に開業なさった後には、通常は顧問契約という形で日々の業務をサポート致します。記帳代行や税務会計に関する事項は勿論のこと、クリニックの事務効率化のために業務フローやITの導入など、様々なアドバイスを提供致します。なお、非常にお忙しくなかなかまとまったお話をする時間が取れない先生方に対しては、当社の特徴である各種コミュニケーションツールを用いた効率的なやり取り(詳細は「法人税務・会計」をご参照ください。)は勿論のこと、予めご指定頂いた日時に定期的にクリニックへお伺いし、財務諸表に関するトピックの説明だけでなく、抜本的な節税の施策や将来の成長を見据えた事業投資に関するご提案など、経営に関する様々な事項を深く検討するための対面の会議を設けさせて頂いております。
経営が軌道に乗った後の医療法人化の検討に関しても、通常は顧問契約の範疇で私どもも常にクリニックの経営状態を把握しながら、本当に必要なタイミングで最高の形で医療法人化をするために、個別のご事情を十分に勘案した上でアドバイス致します。
なお、医療法人の設立に関しても様々な行政手続を行う必要がありますが、個人クリニックの開業の際と同様に、提携する行政書士事務所等の他士業と連携し、ワンストップでお手伝い致します。法人化後の分院の開設に関するお手続等も同様です。
診療のプロである医師・歯科医師の先生方が早期に本業に注力できるよう、先生方の右腕として、全面に亘り経営のサポートを致します。初回のご相談は無料で承ります。是非一度、お気軽にご相談ください。